この記事の要点
業務改善の相談では、業務の目的、困っている作業、件数や所要時間、目指す状態、予算や利用中のツールを確認します。最初から詳しい資料をそろえる必要はなく、最近困った場面と普段の進め方を説明できれば話を始められます。初回無料相談で対象と進め方を整理し、有料の業務改善診断で手順や条件を詳しく確認します。
毎月の集計に時間がかかる。入力内容の確認や、ミスの修正に追われる。担当者に作業が集中し、締め切り前はいつも忙しい。改善したい作業はあるものの、外部へ相談すると何を聞かれるのか、どこまで説明できればよいのか、迷うことはないでしょうか。
ヒアリングでは、「この作業を自動化したい」といった要望を聞き、その業務の目的、実際の進め方、担当する体制、困りごとが生じる場面を確認します。同じ「時間がかかる」という悩みでも、転記が多いのか、情報がそろわないのか、判断が一人に集中しているのかによって、適した改善方法は変わります。
この記事では、改善したい作業について、相談時にどのようなことを確認するのかを紹介します。初回相談では困りごとや対象業務、今後の進め方を整理し、詳しい業務診断では手順や条件を掘り下げます。必要な資料や関係者も確認しながら、内容を段階的に具体化していきます。
何のための業務で、どの作業に困っているか
業務の目的と必要性を確認する
最初に聞くのは、何のためにその業務を行っているかです。作成した資料や処理した情報を、誰が、何に使っているのかまで確認します。
例えば、毎月の報告書作成に時間がかかっているなら、誰がその報告書を読み、何を判断するために使っているかを確かめます。必要な報告書でも、使われていない項目や、別の資料と重複する内容が含まれているかもしれません。
「以前から続けている」という場合も、現在の利用者や用途を確認します。業務をやめる、頻度を減らす、対象や項目を絞ると、どのような支障があるかを考えます。契約や社内管理のために必要な作業は、求められる内容や期限も確認したうえで判断します。
業務の必要性を確かめてから、続ける作業の改善を考えることが出発点です。 担当者だけで必要性を判断できない場合は、資料の利用者や責任者にも確認します。
困っている場面を具体的に聞く
目的を確認したうえで、どの作業の何に困っているかを聞きます。「時間がかかる」という悩みについても、最近の作業で負担を感じた場面を具体的に説明してもらいます。
- どの作業をしているときに、負担を感じるか。
- 何を探し、何を確認し直しているか。
- どのようなミスや差し戻しが繰り返し起きるか。
- 誰かに聞かないと進められないことは何か。
- 普段と比べて、特に大変だったのはどのようなときか。
例えば、「集計が大変」という悩みには、未提出の資料を探す、部署ごとの書式を直す、合計の違いを調べるといった作業が含まれていることがあります。困りごとを具体的な作業に分けることで、確認すべき箇所が見えてきます。
業務の始まりから終わりまでをたどる
次に、その業務が何をきっかけに始まり、何をもって完了するのかを確認します。普段の処理1件や直近の作業を例に、実際に行った順序で説明してもらいます。
受け取る情報、使う資料やツール、入力・加工する内容、次の工程へ渡すものをたどります。説明だけでは分かりにくい場合は、帳票や画面を見ながら確認します。
例えば、月次報告であれば、「各部署から数字を受け取る」「書式や内容を整える」「集計する」「確認を受ける」「報告書を提出する」という流れが考えられます。メールやチャットで内容を確かめたり、別のファイルから情報を補ったりする作業も含めます。
決められた手順と、現場で実際に行っている手順が異なる場合もあります。手順書に載っていない補足作業や、担当者が工夫している処理も確認します。実際の情報と作業の流れを把握することで、負担が生じる箇所を後から詳しく確認しやすくなります。
業務の体制・締め切り・重要度を確認する
作業の流れが分かったら、どのような体制と条件で業務を進めているかを確認します。同じ処理でも、複数人で分担できる場合と、一人が他の業務も担当している場合では、必要な支援や適した運用方法が変わります。
| 確認する項目 | 聞きたいこと |
|---|---|
| 人数と役割 | 何人で対応し、受付・処理・確認・承認をどう分担しているか。他の業務との兼務はあるか |
| 責任者と代行 | 判断する人は誰か。担当者や責任者が不在の場合、誰が対応できるか |
| 締め切り | いつまでに完了する必要があるか。途中の提出期限や承認期限はあるか |
| 緊急度 | 今すぐ対応が必要か。期限までにどの程度の余裕があり、急な依頼は発生するか |
| 重要度 | 売上、顧客対応、経営判断など、会社にとってどのような役割を持つ業務か |
| 遅延・ミスの影響 | 発生すると、誰に、どのような影響が及ぶか。社内で修正できるか、取引先への連絡が必要か |
緊急度と重要度は分けて聞きます。急いでいる業務だけが重要とは限りません。期限に余裕があっても、誤りが顧客対応や経営判断に大きく影響する業務では、必要な確認を残して改善することが重要です。
例えば、請求金額の誤りであれば、入力の修正に加え、取引先への説明や再発行が必要になる場合があります。社内資料の軽微な表記ミスとは、影響や必要な対応が異なります。
体制や期限、ミスの影響を整理することで、業務を進めるうえで守る必要がある条件が明確になります。作業量や時間も合わせて把握し、改善する箇所と優先順位を考えます。
どこで手間や判断が発生しているか
業務の流れと条件を踏まえ、負担が集中する箇所を掘り下げます。転記、情報探し、確認の往復、回答待ち、例外対応など、実際に手間が生じる場面を確認します。
例えば、数字を入力する作業が問題に見えていても、元の資料に情報が足りず、担当部署への問い合わせを繰り返していることがあります。その場合は、受け取る情報や提出方法も、改善の対象として確認します。
通常どおりに進む場合に加え、途中で止まったり、やり直しが生じたりする場面も聞きます。
- 資料が不足しているときは、誰へ何を確認するか。
- 数字が合わないときは、どの資料へ戻って調べるか。
- 修正版が届いたときは、どの処理をやり直すか。
- 普段と異なる依頼には、何を基準に対応するか。
- 担当者の経験や記憶に頼っている判断は何か。
毎回同じ基準で処理できるものと、個別の判断が必要なものを分けます。人が判断する工程でも、必要な情報をそろえる、確認先を明確にする、判断基準を共有するといった改善が考えられます。
作業量・頻度・所要時間を確認する
続いて、どれだけの作業が発生し、どの程度の時間を使っているかを確認します。通常の業務量に加え、繁忙期の増加や例外対応の多さを把握すると、負担が集中する条件を考えやすくなります。
| 確認する項目 | 整理する内容 |
|---|---|
| 処理件数・対象量 | 1回・1日・1か月あたりの件数、扱う資料やデータの量 |
| 発生頻度 | 毎日、毎週、月末、依頼が届くたびなど、作業が発生する周期 |
| 業務量の変動 | 繁忙期、月末、特定の曜日など、件数が増える時期や条件 |
| 実作業時間 | 入力、資料探し、確認、修正など、手を動かしている時間 |
| 待ち時間 | 提出、回答、承認を待ち、作業を進められない時間 |
| 定型・例外の割合 | 通常の手順で進むものと、追加の確認や判断が必要なものの件数と割合 |
複数人が関わる場合は、各担当者の実作業時間と、業務が始まってから完了するまでの経過時間を分けます。例えば、2人が同時に1時間ずつ作業する場合、両者の作業時間は合計2時間ですが、その工程が終わるまでの経過時間は1時間です。
また、総作業時間だけでは、件数の多さによる負担と、一件あたりの手順による負担を区別しにくくなります。件数と時間を合わせて見ることで、どの部分を改善すると負担が変わるかを考えやすくなります。
初回から正確な記録がそろっている必要はありません。おおよその件数や時間から始め、記録で確認できた数値と、担当者の記憶に基づく目安を分けて残します。判断に必要な箇所は、既存の履歴や次回の作業記録で確かめます。
改善後の目標を、長期・中期・直近に分けて確認する
現状を聞いたうえで、どのような状態を目指すかを確認します。一つの目標にまとめず、最終的な理想像、途中で整えたい状態、まず解決したいことを分けます。
以下は、担当者に集中している月次報告業務を題材にした架空の例です。実際の支援実績を示すものではありません。
| 段階 | 確認すること | 目指す状態の例 |
|---|---|---|
| 長期:最終的な理想像 | 将来、業務や体制をどのような状態にしたいか | 特定の担当者に頼らず、必要な報告を安定して作成できる |
| 中期:理想へ近づく状態 | 途中の段階で、何を整えたいか | 入力方法と判断基準が共有され、複数人で報告業務を担当できる |
| 直近:まず解決したいこと | 現在の困りごとのうち、最初に何を解消したいか | 毎月の転記と書式修正を減らし、締め切り前の負担を軽くする |
それぞれについて、実現したい時期、優先する理由、達成したと判断できる状態を確認します。「すぐにすべて自動化したい」という要望がある場合も、まずどの負担を減らす必要があるか、先にそろえる手順や情報は何かを整理します。
長期・中期・直近の区切りは、業務の周期や会社の計画によって変わります。それぞれをいつまでに実現したいか、どの状態を目指すかを具体的にします。
また、負担を減らす目標と合わせて、必要な確認項目や処理の正確さ、提出期限など、改善後も維持すべき条件を共有します。最初の改善が長期の理想につながるか、将来、対象業務を広げたり、別の担当者へ引き継いだりできるかも考えます。
改善の目的に合った数字と現場の声で効果を確かめる方法は、「業務改善の効果、どう確かめる? 数字と現場の声で振り返る方法」でも紹介しています。
改善を実行するための条件を確認する
目標を実行できる改善案へつなげるため、予算、利用中のツール、変更できる範囲などを確認します。現在の業務を進める条件に加え、新しい方法を導入する際の準備や制約を整理します。
既存の契約やシステムを継続する必要があるか、提出先の書式を変更できるか、他部署との調整が必要かを聞きます。導入準備や動作確認、使い方を覚えるための時間を確保できるかも確認します。
予算は初期費用に加え、利用料や保守費など、運用中の費用も含めて考えます。費用と効果の考え方は、「業務改善に100万円かける価値はある? 投資回収の計算方法」で詳しく整理しています。
予算や変更できる範囲が未確定の場合は、判断する人、追加で確かめる事項、次に確認する時期を整理します。手順の見直し、既存ツールの活用、自動化など、条件に合う方法を比較します。
相談前に、何を準備しておくとよいか
最初から、詳しい業務フローや正確な測定結果をすべて用意する必要はありません。改善したい作業について、最近困った場面と、普段どのように進めているかが分かると、話を始めやすくなります。
手元にあれば、普段使う帳票や画面の見本、簡単な手順、担当する人数と役割、締め切り、おおよその件数や時間を用意します。その場で答えられないことや、利用者・他部署への確認が必要なことは、未確認事項として共有できます。
資料は、説明に必要な範囲で用意します。顧客名、個人情報、口座番号などを含む場合は、それらを除いた見本や、架空の内容に置き換えた説明用の資料でも構いません。画面を見せる場合も、共有する範囲を確認します。
EDVAC Technologiesの初回無料相談では、現在のお悩みや改善したい業務を伺い、診断対象や今後の進め方を整理します。詳しい業務改善診断は別の有料サービスで、手順や担当者、使用ツール、情報の流れを整理し、診断結果と改善案をまとめた提案書を提出します。サービス内容とご利用の流れもご確認ください。
ヒアリングで把握した業務の目的、課題、守るべき条件、段階ごとの目標を整理し、関係者と認識を合わせます。そのうえで、改善の優先順位と具体的な方法を検討します。
困っている作業があるなら、まずは「何のために行っているか」「どの場面で困るか」「最初に何が解決すると助かるか」を、普段使う資料とともに説明してみてください。その情報が、実行できる改善案を考える土台になります。